生理中に感じるふわふわとしためまいや、急に立ち上がった時の立ちくらみに悩まされていませんか?
多くの女性が生理期間中にこうした不調を経験しますが、「いつものこと」と我慢している方も少なくありません。
しかし、これらの症状は身体からの大切なサインかもしれません。
この記事では、生理中のめまいやふわふわ感の主な原因、それに伴う症状、自宅でできる対処法、そして病院を受診すべき目安や根本的な治療法について詳しく解説します。
つらい症状を改善し、生理期間を少しでも快適に過ごすためのヒントを見つけてください。
生理中のふわふわめまい・立ちくらみの原因は?
生理中にめまいや立ちくらみが起こりやすくなるのには、いくつかの理由があります。
これらは単独で起こることもあれば、複数重なっていることもあります。
主な原因として考えられるのは、以下の点です。
貧血(鉄欠乏性貧血)
生理中にめまいや立ちくらみを起こす最も一般的な原因の一つが貧血、特に鉄欠乏性貧血です。
生理による出血で体内の鉄分が失われると、ヘモグロビンの生成が十分に行われなくなり、全身に酸素を運ぶ能力が低下します。
脳への酸素供給が不足すると、ふわふわするようなめまいや立ち上がった時にクラッとする立ちくらみが起こりやすくなります。
特に、経血量が多い(過多月経)方や、無理なダイエットをしている方、普段から鉄分摂取が不足している方は、生理前からの鉄不足が生理中の症状を悪化させる可能性があります。
疲労感や顔色の悪さ、息切れなどを伴うことも多く、これらも鉄不足のサインと言えます。
ホルモンバランスの急激な変動
生理周期を通して、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの分泌量は大きく変動します。
生理前や生理中は、これらのホルモンレベルが大きく低下する時期にあたります。
エストロゲンの急激な低下は、血管の収縮・拡張を調整する自律神経の働きに影響を与え、血圧の変動を引き起こすことがあります。
これにより、めまいや立ちくらみが発生しやすくなります。
また、ホルモンバランスの変化は、脳内の神経伝達物質にも影響を与え、気分や体調の変動を引き起こすことが知られています。
これが自律神経の乱れと相まって、めまいとして感じられることがあります。
生理前に症状が強く出る場合は、月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)の一症状としてめまいが現れている可能性も考えられます。
自律神経の乱れ
自律神経は、心拍、血圧、体温、消化など、体の様々な機能を無意識のうちに調整しています。
生理周期に伴うホルモンバランスの変化や、生理中の痛み(生理痛)、精神的なストレス、睡眠不足などは、自律神経のバランスを崩す原因となります。
自律神経が乱れると、血管の収縮・拡張のコントロールがうまくいかなくなり、血圧が不安定になったり、脳への血流が一時的に減少したりすることがあります。
これにより、ふわふわした不安定なめまいや、乗り物酔いのような不快な感覚が生じやすくなります。
特に、朝起きるのがつらい、疲れやすい、体温調節がうまくいかないなどの症状がある場合は、自律神経の乱れが関わっている可能性が高いでしょう。
脳貧血(起立性調節障害)
一般的に「脳貧血」と呼ばれる症状は、医学的には起立性低血圧や神経調節性失神、広義には起立性調節障害(OD)の一部として捉えられることがあります。
これは、座った状態や寝た状態から急に立ち上がった際に、重力によって血液が下半身に偏り、脳への血流が一時的に不足することで起こります。
本来であれば、自律神経の働きによって血管が収縮し、心拍数を上げて血圧を維持することで脳への血流が保たれます。
しかし、この調整機能がうまくいかないと、立ちくらみや目の前が真っ暗になるといった症状が現れます。
生理中は、前述の貧血や自律神経の乱れが重なることで、脳貧血を起こしやすくなることがあります。
思春期の女性に多く見られますが、成人生理中に起こることもあります。
その他の原因(ストレス、睡眠不足など)
生理期間は、身体的にも精神的にも負担がかかりやすい時期です。
生理痛による体の痛み、経血への不安、ホルモンバランスの変動による気分の落ち込みなどは、ストレスを増大させます。
また、生理中の不快感から睡眠不足に陥ることもあります。
ストレスや睡眠不足は、それ自体が自律神経を乱し、めまいを引き起こす原因となります。
さらに、生理による身体的な不調と重なることで、めまいの症状が悪化したり、より頻繁に起こったりすることがあります。
不規則な生活習慣や、無理なスケジュールなどもめまいのリスクを高める要因となり得ます。
生理中のめまい・ふわふわに伴う症状
生理中のめまいやふわふわ感は、しばしば他の様々な不快な症状を伴います。
これらの症状が同時に現れることで、つらさが増し、日常生活に支障をきたすこともあります。
吐き気
めまいの種類によっては、吐き気や実際に嘔吐してしまうことがあります。
特に、内耳の異常など平衡感覚に関わる問題がめまいの原因となっている場合に起こりやすいですが、生理中のめまいでも、自律神経の乱れや血圧の変動が胃腸の働きに影響し、吐き気を催すことがあります。
貧血が重度の場合も、全身の不調として吐き気を伴うことがあります。
頭痛
生理中のめまいと頭痛は、しばしば同時に起こる症状です。
ホルモンバランスの変動は、脳血管に作用し、片頭痛を引き起こしたり悪化させたりすることが知られています(月経関連片頭痛)。
めまいと頭痛が同時に起こる場合、片頭痛に伴うめまいである可能性も考えられます。
また、自律神経の乱れによる緊張型頭痛と、ふわふわするめまいが同時に現れることもあります。
貧血による酸素不足も頭痛の原因の一つとなり得ます。
だるさ
生理中のめまいと全身のだるさ(倦怠感)は、非常によく見られる組み合わせです。
生理による出血やホルモン変動、生理痛、睡眠不足などが複合的に影響し、体力や気力が低下します。
貧血の場合は、全身への酸素供給不足が倦怠感の大きな原因となります。
めまいによって体の平衡感覚が不安定になること自体も、無意識のうちに体に負担をかけ、だるさを感じさせる要因となります。
動悸・息切れ
自律神経の乱れや貧血は、動悸や息切れを引き起こすことがあります。
自律神経が乱れると心拍数が不安定になったり、必要以上に速くなったりすることがあります。
また、貧血で酸素供給が不足すると、心臓はより速く動いて全身に酸素を送ろうとするため、動悸や息切れを感じやすくなります。
めまいとこれらの症状が同時に現れる場合は、循環器系や呼吸器系の問題が隠れている可能性もゼロではありませんが、多くの場合は生理に伴う一時的な自律神経や貧血の影響と考えられます。
手の震え
稀ではありますが、生理中のめまいに伴って手の震えが現れることがあります。
これも自律神経の乱れや、一時的な血糖値の変動などが関与している可能性があります。
強い不安感や緊張状態にある時にも震えは起こりやすいため、生理中の精神的な不安定さが影響している場合もあります。
継続的に震えが見られる場合や、他の神経症状を伴う場合は、別の原因も考慮する必要があります。
生理中のめまい・ふわふわ、自宅でできる対処法
生理中のめまいやふわふわ感はつらいものですが、症状を和らげるために自宅でできる対処法がいくつかあります。
無理のない範囲で試してみましょう。
安静にして休息をとる
めまいを感じたら、まずは無理せず座るか横になり、安静にすることが最も大切です。
急な動きや立ち上がりはめまいを悪化させる可能性があるため避けましょう。
静かな環境で目を閉じ、体の感覚に集中することで、めまいの不快感が軽減されることがあります。
十分な睡眠をとることも、自律神経の回復や体力の回復に役立ちます。
生理期間中は、普段よりも早めに寝る、昼休憩に短い仮眠をとるなど、意識的に休息時間を確保しましょう。
栄養バランスの取れた食事(鉄分、ビタミンなど)
貧血が原因の場合、食事からの栄養補給が重要です。
特に鉄分は積極的に摂取しましょう。
鉄分には動物性食品に含まれるヘム鉄(レバー、赤身の肉、魚など)と、植物性食品に含まれる非ヘム鉄(ほうれん草、大豆製品、ひじきなど)があります。
ヘム鉄の方が吸収率が良いですが、非ヘム鉄もビタミンC(柑橘類、ブロッコリー、パプリカなど)と一緒に摂取することで吸収率がアップします。
また、造血に必要なビタミンB群(特にB12や葉酸)もバランス良く摂りましょう。
これらの栄養素を含むバランスの取れた食事は、貧血予防だけでなく、ホルモンバランスや自律神経の安定にもつながります。
インスタント食品や加工食品に偏らず、多様な食材を組み合わせるように心がけましょう。
栄養素 | 多く含む食品例 | 期待できる効果 |
---|---|---|
鉄分 | レバー、赤身肉、かつお、マグロ、あさり、ほうれん草、小松菜、ひじき、大豆製品 | ヘモグロビンの生成、貧血予防、全身への酸素供給改善 |
ビタミンC | 柑橘類、イチゴ、キウイ、ブロッコリー、パプリカ、じゃがいも | 鉄分の吸収促進、免疫力向上 |
ビタミンB12 | 牛肉、豚肉、鶏肉、魚介類、乳製品、卵 | 赤血球の生成を助ける、神経機能維持 |
葉酸 | ほうれん草、ブロッコリー、枝豆、レバー、いちご、アボカド | 赤血球の生成を助ける、細胞分裂に関わる |
水分をしっかり補給する
脱水も血圧を低下させ、めまいや立ちくらみの原因となります。
生理中は経血によって水分が失われるため、意識的に水分を補給することが大切です。
カフェインの多い飲み物(コーヒー、紅茶など)やアルコールは利尿作用があるため、摂りすぎに注意し、水や麦茶、ハーブティーなどをこまめに飲むようにしましょう。
温かい飲み物は体を温める効果もあり、リラックスにもつながります。
身体を温める
体が冷えると血行が悪くなり、めまいが悪化することがあります。
生理期間中は特に体を冷やさないように気をつけましょう。
腹部や腰を温めると、骨盤内の血行が促進され、生理痛の緩和にもつながり、結果的に自律神経の安定にも良い影響を与える可能性があります。
カイロを使ったり、湯たんぽを使ったり、温かい服装を心がけたり、ゆっくりお風呂に浸かるのも効果的です。
ストレスを軽減し、十分な睡眠をとる
生理中のめまいの背景には、ストレスや睡眠不足が潜んでいることが少なくありません。
リラックスできる時間を作り、ストレスを軽減することを意識しましょう。
軽いストレッチやヨガ、深呼吸、アロマセラピー、好きな音楽を聴くなど、自分に合ったリラックス法を見つけて実践しましょう。
また、前述の通り、十分な睡眠時間を確保することが、心身の回復にとって非常に重要です。
寝る前にスマートフォンやパソコンの使用を控えるなど、質の良い睡眠のための工夫も取り入れましょう。
市販薬の活用
軽いめまいや立ちくらみであれば、薬局で購入できる市販薬で症状が和らぐこともあります。
酔い止め薬の中には、めまいに効果がある成分が含まれているものがあります。
また、貧血が疑われる場合は、鉄剤のサプリメントや市販薬を試すこともできます。
ただし、鉄剤は胃腸に負担をかけることもあるため、用法・用量を守り、不安があれば薬剤師に相談しましょう。
生理痛が強い場合は、生理痛緩和薬を服用することで、痛みが軽減され、それに伴う自律神経の乱れやめまいが和らぐこともあります。
ただし、市販薬で症状が改善しない場合や、症状が重い場合は、医療機関を受診することが大切です。
40代の生理中のめまい・ふわふわについて
40代になると、生理中のめまいやふわふわ感に加えて、これまでとは異なる体の変化を感じ始めることがあります。
この年代の生理中のめまいは、更年期の始まりと関連している可能性も考慮する必要があります。
更年期との関連性
更年期は、一般的に閉経を挟んだ前後10年ほどの期間を指し、多くの女性では40代後半から始まりますが、40代前半から兆候が現れることもあります(プレ更年期)。
この時期は卵巣機能が徐々に低下し、女性ホルモン(特にエストロゲン)の分泌量が大きく変動しながら減少していきます。
エストロゲンの急激な変動や低下は、自律神経のバランスを大きく乱し、めまい、ほてり、発汗、動悸、倦怠感、不眠、イライラ、気分の落ち込みなど、様々な不調(更年期症状)を引き起こします。
40代の生理中のめまいは、単なる生理に伴う症状だけでなく、この更年期への移行期におけるホルモン変動が影響している可能性が高いと言えます。
特に、生理周期が乱れてきたり、経血量が変化したりといった生理自体の変化とともにめまいが強くなった場合は、更年期の影響を疑うサインの一つとなります。
40代で生理中のめまいがひどくなったと感じる場合は、自己判断せず、婦人科で相談してみることをおすすめします。
こんな生理中のめまいは要注意!病院を受診すべき目安
ほとんどの生理中のめまいは、生理が終われば自然に改善する一時的なものですが、中には注意が必要なめまいや、別の病気が隠れている可能性を示すめまいもあります。
以下のような場合は、一度医療機関を受診することを強くおすすめします。
意識を失った場合
めまいの最中に意識を失って倒れてしまった場合は、非常に危険な状態である可能性があります。
脳への血流が極端に低下したか、心臓に重篤な問題があることも考えられます。
すぐに医療機関を受診するか、救急車を呼ぶことを検討してください。
症状がひどい、長引く場合
めまいの程度がひどく、立つことや歩くことが困難な場合や、生理が終わっても症状が改善せずに長引く場合、あるいは生理期間に関係なく頻繁にめまいが起こる場合は、生理とは別の原因が考えられます。
貧血が重度である、自律神経の乱れが慢性化している、あるいは内耳の異常や脳の病気など、専門的な検査や治療が必要な場合があります。
日常生活に支障が出ている場合
めまいが原因で、仕事や学業に集中できない、外出するのが怖い、家事ができないなど、日常生活に大きな支障が出ている場合は、我慢せずに医療機関を受診しましょう。
適切な診断と治療を受けることで、症状が改善し、生活の質が向上する可能性があります。
めまい以外に強い症状がある場合(胸痛、手足のしびれなど)
めまいに加えて、以下のような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。
これらは、脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)や心臓病などの重篤な病気のサインである可能性があります。
- 突然の強い頭痛
- 手足のしびれや麻痺
- 言葉が出にくい、ろれつが回らない
- 物が二重に見える、視野が欠ける
- 胸の痛み、圧迫感
- 呼吸困難
- 顔面や手足の動きが悪くなる
このような症状がある場合は、迷わず救急医療機関を受診してください。
生理中のめまいで受診する診療科
生理中のめまいで病院を受診しようと思った時、「何科に行けば良いのだろう?」と迷う方もいるかもしれません。
生理との関連性が強い場合は婦人科が適していますが、めまいの性質や伴う症状によっては他の診療科が専門となることもあります。
婦人科
生理中のめまいが、生理周期と明らかに連動している、生理痛や過多月経などの婦人科系の症状を伴う、あるいは40代以降で更年期との関連が疑われる場合は、まず婦人科を受診するのが適切です。
婦人科では、問診や内診、超音波検査などで子宮や卵巣の状態を確認したり、ホルモン検査でバランスを調べたり、貧血の検査(血液検査)を行ったりします。
原因が生理やホルモンバランスにある場合は、低用量ピルや漢方薬、ホルモン補充療法などの治療法が選択肢となります。
内科
貧血や自律神経の乱れ、低血圧などが原因として考えられる場合は、内科を受診するのも良いでしょう。
内科では、全身の状態を把握するための診察や血液検査、血圧測定などが行われます。
貧血の診断や治療、自律神経失調症に対する対症療法などが受けられます。
めまい以外の全身症状(倦怠感、動悸など)が強く出ている場合にも適しています。
脳神経外科
めまいの性質が回転性で激しい、意識を失った、あるいは強い頭痛、手足のしびれや麻痺などの神経症状を伴う場合は、脳神経外科で脳に異常がないかを確認してもらう必要があります。
MRIやCTなどの画像検査を行い、脳腫瘍や脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)がないかを調べます。
ただし、生理中のふわふわするめまいがこれらの重篤な病気である可能性は低いことがほとんどです。
念のため、という場合に検討する診療科です。
耳鼻咽喉科
めまいがグルグル回るような回転性で、耳鳴りや難聴を伴う場合、あるいは特定の頭の位置でめまいが誘発される場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
耳鼻咽喉科は、内耳の機能(平衡感覚や聴覚)の専門家です。
メニエール病や良性発作性頭位めまい症など、内耳の異常によるめまいの診断と治療を行います。
生理中のめまいが内耳の異常と重なっている可能性もゼロではありません。
症状に合わせて適切な診療科を選ぶことが大切ですが、迷う場合はかかりつけ医や近くの総合病院の内科などで相談し、専門医を紹介してもらうのも良い方法です。
生理中のめまい・ふわふわに対する根本的な治療法
生理中のめまいやふわふわ感の根本的な原因が、貧血やホルモンバランスの乱れ、自律神経の不調にある場合、それらを改善するための治療法があります。
対症療法としての休息や栄養補給も大切ですが、症状が重い場合や繰り返す場合は、医師と相談して根本的な治療を検討しましょう。
低用量ピル
低用量ピルは、女性ホルモンのバランスを一定に保つことで、排卵を抑制し、生理周期を規則的にする薬です。
生理前のホルモン変動を抑えることで、月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)の症状(めまい、気分の落ち込み、イライラなど)を軽減する効果が期待できます。
また、経血量を減らす作用もあるため、過多月経による貧血を改善し、めまいを和らげる効果も期待できます。
低用量ピルには様々な種類があり、含まれるホルモンの種類や量によって特徴が異なります。
医師と相談し、自分の症状や体質に合ったピルを選ぶことが重要です。
副作用として、飲み始めに吐き気や不正出血などが現れることがありますが、通常は数ヶ月で落ち着きます。
血栓症のリスクなど、注意点もありますが、正しく服用すれば生理に伴う様々な不調を改善する有効な手段となります。
ホルモン補充療法(HRT)
主に40代後半以降で、更年期に伴うホルモンバランスの大きな変動や低下がめまいの原因となっていると考えられる場合に検討されるのが、ホルモン補充療法(HRT)です。
不足している女性ホルモン(エストロゲン、必要に応じてプロゲステロンも)を薬として補充することで、更年期症状(めまい、ほてり、発汗、不眠など)を和らげることを目的とします。
HRTには、内服薬、貼り薬、塗り薬など様々なタイプがあり、医師が症状や体質に合わせて処方します。
HRTは更年期症状全般に効果が期待できますが、乳がんや血栓症のリスク上昇などの可能性も指摘されており、医師とよく相談して治療のメリットとデメリットを理解した上で開始することが大切ですし、日本産科婦人科学会などの情報も参考にすると良いでしょう。
漢方薬
生理中のめまいや体の不調に対して、漢方薬が用いられることもあります。
漢方医学では、体全体のバランスを整えることを重視するため、生理中のめまいの原因となる体質(「気」「血」「水」のバランスの乱れなど)に合わせて処方されます。
例えば、貧血傾向がある場合は、血液を補う作用のある漢方薬(例:当帰芍薬散、十全大補湯など)が、自律神経の乱れによるめまいや精神的な不調がある場合は、気の巡りを良くしたり精神安定作用のある漢方薬(例:半夏厚朴湯、加味逍遙散など)が用いられることがあります。
漢方薬は西洋薬に比べて効果が穏やかですが、体質改善につながる可能性があります。
日本東洋医学会などの情報も参考に、医師や漢方専門医、薬剤師に相談して、自分に合った漢方薬を選んでもらいましょう。
これらの根本的な治療法以外にも、症状や原因に応じて、鉄剤の処方(貧血の場合)、自律神経調整薬、抗めまい薬などが用いられることがあります。
重要なのは、つらい症状を我慢せず、医療機関で相談し、適切な診断と治療を受けることです。
治療法 | 主な対象となる原因 | 期待できる効果(めまいに対して) | 注意点 |
---|---|---|---|
低用量ピル | ホルモンバランスの変動、過多月経による貧血 | 生理前のめまい軽減、経血量減少による貧血改善 | 飲み始めの副作用(吐き気など)、血栓症のリスク、医師の処方が必要 |
ホルモン補充療法(HRT) | 更年期に伴うホルモン低下 | 更年期に伴うめまいを含む様々な症状の緩和 | 乳がんや血栓症のリスク上昇の可能性、医師の処方が必要 |
漢方薬 | 貧血、自律神経の乱れなど体質によるもの | 体質改善によるめまいや関連症状の緩和(穏やか) | 効果には個人差がある、専門家への相談が推奨される |
鉄剤処方 | 鉄欠乏性貧血 | 貧血の改善によるめまいの軽減 | 胃腸への負担、医師の診断と処方が必要 |
※上記は一般的な情報であり、個人の症状や状態によって適した治療法は異なります。
必ず医師と相談してください。
まとめ
生理中のめまいやふわふわ感は、多くの女性が経験する身近な症状ですが、その背景には貧血、ホルモンバランスの変動、自律神経の乱れ、脳貧血など、様々な原因が考えられます。
吐き気や頭痛、だるさといった他の不調を伴うこともあり、つらいと感じる場合は決して一人で抱え込まず、適切な対処や医療機関への相談を検討することが大切です。
自宅でできる対処法としては、十分な休息、鉄分やビタミンを意識した栄養バランスの取れた食事、こまめな水分補給、体を温める、ストレス軽減などが有効です。
症状が軽いうちはこれらのセルフケアで改善することもあります。
しかし、症状がひどい場合、長引く場合、日常生活に支障が出ている場合、あるいは胸痛や手足のしびれなどめまい以外の強い症状を伴う場合は、重篤な病気が隠れている可能性もあるため、迷わず医療機関を受診してください。
受診する際は、生理との関連が強い場合は婦人科、全身的な不調や貧血なら内科、神経症状があれば脳神経外科、耳鳴りや難聴を伴うめまいなら耳鼻咽喉科など、症状に応じて適切な診療科を選びましょう。
根本的な治療としては、低用量ピルによるホルモンバランスの調整や貧血改善、更年期の場合はホルモン補充療法(HRT)、体質改善を目指す漢方薬などがあります。
これらの治療法は医師の診断のもと行われ、つらい症状を大きく和らげる効果が期待できます。
生理中のめまいは、女性の体の仕組みと深く関連しています。
自分の体のサインに耳を傾け、必要に応じて専門家のサポートを得ながら、生理期間を少しでも快適に過ごせるようにしていきましょう。
つらい症状にお悩みの方は、ぜひ〇〇クリニックにご相談ください。