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「今にも生理きそう」それ、妊娠かも?生理前との違いと妊娠初期症状【医師監修】

「今にも生理がきそう」—そのお腹の違和感や体のサインは、毎月のことだからと特に気に留めない方もいるかもしれません。
しかし、その感覚がいつもと少し違うと感じる時、もしかしたらそれは生理の始まりではなく、新しい命が宿ったサイン、「妊娠超初期症状」である可能性も考えられます。

特に、妊娠を望んでいる方や、反対に今は避けたいと考えている方にとって、この「今にも生理きそう」という感覚が妊娠の可能性を示唆するものなのかどうかは、大きな不安や期待につながるでしょう。
生理前症状と妊娠初期症状は非常に似ているため、自分で区別するのは難しいことがよくあります。

この記事では、「今にも生理きそう」と感じる時に考えられる妊娠の可能性について、生理前症状と妊娠初期症状の似ている点や異なる点を、産婦人科医監修のもと詳しく解説します。
いつ妊娠検査薬を使えば正確なのか、どんな時に医療機関を受診すべきなのかについても触れますので、あなたの不安を和らげ、適切な次のステップを踏み出すための参考にしてください。

目次

生理前と妊娠初期症状の似ている点

生理予定日が近づくと、「今にも生理がきそう」と感じさせる様々な体の変化が現れます。
しかし、妊娠が成立した場合にも、これらと非常によく似た症状が現れることがあります。
これは、生理前と妊娠初期のどちらの時期にも、女性ホルモンであるプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が活発になるためです。
プロゲステロンは、子宮内膜を厚くして受精卵の着床を助けたり、妊娠を維持したりする働きがありますが、同時に様々な体の変化を引き起こします。

腹痛や下腹部痛(生理痛に似ている)

生理前には、子宮が収縮したり、プロスタグランジンという痛みを引き起こす物質が増えたりすることで、生理痛のような下腹部痛や腰痛を感じることがあります。
これは「月経前症候群(PMS)」の一つとしても知られています。

一方、妊娠初期にも、着床や子宮が大きくなる過程で、生理痛に似た軽い下腹部痛やチクチクとした痛みを感じることがあります。
これは子宮の伸縮や、子宮周囲の靭帯が引っ張られることなどが原因と考えられています。
「今にも生理きそう」と感じるような、重い感じや違和感として現れることも少なくありません。
痛みの強さや種類だけで、生理前か妊娠初期かを正確に判断するのは難しいでしょう。

胸の張りや痛み

生理前に胸が張ったり痛んだりするのは、プロゲステロンやエストロゲンといった女性ホルモンの影響です。
乳腺が発達して、水分をため込みやすくなることが原因です。

妊娠初期にも、これらのホルモンがさらに活発に分泌されることで、生理前よりも強い胸の張りや痛み、乳首の過敏性を感じることがあります。
乳房全体が大きくなったように感じることもあります。
これもまた、生理前症状と非常に似ており、これだけで妊娠を判断することは困難です。

眠気や倦怠感

プロゲステロンには、体温を上げたり、眠気を誘発したりする作用があります。
そのため、生理前には強い眠気や体がだるいといった倦怠感を感じやすいです。

妊娠が成立した場合、プロゲステロンの分泌はさらに継続・増加するため、生理前よりもさらに強い眠気や体が重い、疲れやすいといった倦怠感を感じることがあります。
これは、新しい命を育むために体が変化し、エネルギーを消費しているサインでもあります。
しかし、症状としては生理前と区別がつきにくい典型的な症状です。

頭痛や寒気(風邪のような症状)

ホルモンバランスの変化は、頭痛を引き起こすことがあります。
生理前にホルモンレベルが変動することで頭痛が起こる方は少なくありません。
また、プロゲステロンによる体温上昇の影響で、体が火照る一方で、寒気を感じることもあります。

妊娠初期にも、ホルモンバランスの大きな変化によって頭痛が起こりやすくなります。
また、基礎体温が高い状態が続くことで、微熱のような感覚や寒気を感じ、「風邪かな?」と勘違いすることがあります。
これらの症状も生理前、特にPMSの症状と似ているため、区別がつきにくいです。

感情の起伏

女性ホルモンの変動は、脳内の神経伝達物質にも影響を与え、気分の落ち込みやイライラ、不安感といった感情の起伏を引き起こすことがあります。
これは生理前のPMSの代表的な症状です。

妊娠初期もホルモンバランスが大きく変化するため、些細なことでイライラしたり、急に悲しくなったり、不安になったりといった感情の不安定さを経験することがあります。
これも生理前と非常に似ており、精神的な症状だけで妊娠を判断することはできません。

生理前とは違う?妊娠初期に特有の症状

生理前症状と似ているものが多い一方で、妊娠初期には生理前には通常現れない、妊娠を強く示唆する特有の症状がいくつかあります。
「今にも生理きそう」という感覚に加えて、これらの症状に気づいたら、妊娠の可能性をより真剣に考える必要があるでしょう。

着床出血(生理との違い)

妊娠初期にごく少量の出血が見られることがあり、これを「着床出血」と呼びます。
受精卵が子宮内膜にもぐり込む(着床する)際に、内膜の毛細血管が傷ついて起こる出血です。

着床出血は、生理予定日頃、または生理予定日より少し前に起こることが多いです。
そのため、「生理が始まったかな?」と勘違いしやすいのですが、以下のような点で生理とは異なります。

特徴 着床出血 生理
時期 生理予定日頃~数日前(高温期後半) 生理予定日頃
ごく少量(下着にうっすら付く程度) 徐々に増え、ある程度の量になる
ピンク、茶色、薄い赤色 鮮やかな赤色
期間 1~2日程度で終わることが多い 通常3~7日程度続く
随伴症状 軽い腹痛を伴うことがある 生理痛、腰痛、だるさなどを伴うことが多い

着床出血は全ての人に起こるわけではなく、起こる人も出血の量や期間には個人差があります。
しかし、もし生理予定日頃に、いつもより明らかに量が少なく、期間も短い出血があった場合は、着床出血の可能性を疑ってみるべきです。

おりものの変化(水っぽいおりものなど)

生理前にもおりものの量は変化することがありますが、妊娠初期には、プロゲステロンの増加によって、おりものの量が増えたり、性状が変化したりすることがあります。

特に、サラサラとした水っぽいおりものや、白っぽく濁ったクリーム状のおりものが増えるといった変化が見られることがあります。
これは、子宮や膣への血流が増加し、分泌物が増えるためと考えられています。
ただし、おりものの変化も個人差が大きく、これだけで妊娠を断定することはできません。
気になる変化があれば注意してみましょう。

頻尿

妊娠すると、ホルモンの影響や、大きくなり始めた子宮が膀胱を圧迫することなどにより、頻尿になることがあります。
まだ子宮がそれほど大きくない妊娠初期でも、ホルモンの影響で膀胱の働きが変化したり、血液量が増加して腎臓の働きが活発になり尿量が増えたりすることで、トイレが近くなることがあります。

生理前にもむくみなどでトイレが近くなることはありますが、妊娠初期の頻尿は、夜中に目が覚めてトイレに行く回数が増えたり、少しの尿意でも我慢できなくなったりといった特徴が見られることがあります。
「今にも生理きそう」と感じる時期に、いつもより明らかにトイレが近くなった場合は、妊娠のサインかもしれません。

吐き気や胃の不快感(つわり)

妊娠初期の代表的な症状といえば「つわり」です。
早ければ妊娠4週頃(生理予定日頃)から始まることもあります。
吐き気、胃のムカつき、食欲不振、特定のにおいが苦手になる、唾液が増えるなどの症状が現れます。
空腹時に悪化しやすい場合もあれば、食事に関係なく一日中気持ち悪い場合もあります。

生理前にも、ホルモンの影響で軽い吐き気や胃の不快感を感じることはありますが、妊娠初期のつわりはより強く、日常生活に影響を与えるほどになることがあります。
生理予定日頃に「今にも生理きそう」という感覚に加え、今まで経験したことのないような吐き気や胃の不快感を感じ始めたら、妊娠の可能性を強く疑うべきサインと言えます。

月経の遅れ(最も重要なサイン)

「今にも生理がきそう」という感覚が続いているにも関わらず、生理が始まらない。
これが妊娠の最も分かりやすく、重要なサインです。
生理周期が安定している方にとって、生理予定日を過ぎても生理が来ない場合は、まず妊娠の可能性を疑うべきでしょう。

ただし、生理周期はストレスや体調、環境の変化によって簡単に乱れることがあります。
数日程度の遅れであれば、妊娠以外の原因も十分に考えられます。
しかし、生理予定日を1週間以上過ぎても生理が来ない場合は、妊娠している可能性がかなり高まります。

「生理だと思ったのに」妊娠だったケース

「今にも生理きそう」と感じていたら、本当に生理が来たと思ったら、実は妊娠だった、というケースは少なくありません。
特に着床出血や、妊娠初期の子宮の収縮による腹痛は、生理と勘違いしやすい症状です。

着床出血を生理と勘違いする可能性

前述の通り、着床出血は生理予定日頃に起こり、出血量も少ないため、「今回は軽い生理なのかな」「いつもと違うけど生理だろう」と自己判断してしまうことがあります。
特に生理周期が不安定な方や、普段から経血量が少ない方は、着床出血と生理を見分けるのが難しい場合があります。

たとえば、普段は5日ほど生理が続くのに、今回は2日で終わった。
いつもは量がもっと多いのに、今回はナプキンに少し付くだけだった。
色も鮮血ではなく茶色っぽかった。
このように、いつもの生理と比べて時期、量、色、期間に違いがある場合は、着床出血の可能性も考慮する必要があります。

生理痛のような腹痛でも妊娠の可能性

「今にも生理きそう」という感覚の主な原因の一つは下腹部痛や腰痛です。
そして、この痛みは妊娠初期にも起こりうることを説明しました。

生理が来る前の子宮の収縮による痛みと、妊娠初期の子宮の拡大や着床に伴う痛みは、どちらも「生理痛のような」「チクチクする」「重い感じ」と表現されることが多く、感覚としては区別が難しいです。
生理が来たと思って生理痛だと思っていたら、実は生理ではなく、妊娠による腹痛だった、というケースも実際にあります。

症状だけで正確な判断は難しいため、「今にも生理きそう」という感覚や生理痛のような腹痛があっても、生理が始まらない場合は、他の妊娠初期症状がないか注意深く観察し、適切なタイミングで妊娠検査薬を使用することが重要です。

いつ妊娠検査薬を使うべき?

「今にも生理きそう」という感覚があり、妊娠の可能性があるかもしれないと不安になった時、最も手軽に確認できるのは妊娠検査薬です。
しかし、妊娠検査薬は正しいタイミングで使用しないと、正確な結果が得られないことがあります。

妊娠検査薬が正確な時期

市販の妊娠検査薬は、尿中に含まれるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンに反応して陽性を示します。
このhCGホルモンは、受精卵が子宮に着床した後、胎盤のもととなる組織から分泌され始めます。

hCGホルモンの量は、妊娠週数が進むにつれて増加します。
妊娠検査薬が十分な量のhCGを検出できるようになるのは、一般的に生理予定日の約1週間後とされています。
この時期であれば、たとえ尿中のhCG濃度が薄めでも、検査薬で検出できる確率が高まります。

メーカーによっては、生理予定日当日から使用できる「早期妊娠検査薬」も販売されていますが、より確実に結果を知りたい場合は、やはり生理予定日を1週間ほど過ぎてからの検査が推奨されます。

フライング検査のリスク

生理予定日を待てずに、あるいは「今にも生理きそう」という感覚が気になって、生理予定日より前に妊娠検査薬を使用することを「フライング検査」と呼びます。

フライング検査には以下のようなリスクがあります。

  • 偽陰性(妊娠しているのに陰性反応が出る): 生理予定日よりも前では、hCGホルモンの分泌が始まっていても、量がまだ少ないために検査薬が検出できない可能性があります。妊娠しているのに陰性が出てしまうと、間違った判断をしてしまうことになります。
  • 偽陽性(妊娠していないのに陽性反応が出る): 極めて稀ですが、排卵誘発剤などの薬の影響や、化学流産(着床はしたが継続せず早期に流産すること)のhCGがわずかに残っている場合などに、フライング検査で一時的に薄い陽性反応が出ることがあります。
  • 化学流産に気づいてしまう: 着床はしたものの妊娠が継続しない化学流産は、生理予定日頃に通常の生理として現れることがほとんどです。フライング検査をしない限り、多くの場合は妊娠に気づくことなく終わります。フライング検査で一時的に陽性反応が出て、その後生理が来ることで化学流産に気づき、精神的なショックを受ける可能性があります。

「今にも生理きそう」という不安な気持ちは分かりますが、正確な結果を得るためには、検査薬の説明書をよく読み、推奨されている適切なタイミングで使用することが大切です。

こんな症状があれば医療機関へ

「今にも生理きそう」という感覚や、妊娠検査薬の結果に加えて、もし以下のような症状がある場合は、自己判断せずに早めに医療機関(産婦人科)を受診することをおすすめします。

不正出血が続く場合

着床出血はごく少量で短期間であることが多いですが、生理予定日頃やそれ以降に、量が多かったり、長く続いたり、あるいはいつもと違う性状(レバー状など)の不正出血がある場合は、注意が必要です。

妊娠初期の出血の原因は様々です。
切迫流産や絨毛膜下血腫といった妊娠の継続に関わるものから、子宮頸管ポリープやびらんといった妊娠とは直接関係のないものまであります。
しかし、自己判断は危険ですので、必ず医師に相談しましょう。

強い腹痛や痛みが続く場合

妊娠初期には軽い腹痛を感じることはありますが、耐えられないような強い痛み、横になっても痛みが続く、あるいは片側だけが強く痛むといった場合は、緊急性の高い状態の可能性も考えられます。

特に、子宮外妊娠(異所性妊娠)の場合、初期には生理痛のような鈍痛や少量の不正出血が見られることがありますが、進行すると激しい腹痛や出血を伴うことがあります。
子宮外妊娠は放置すると命に関わることもあるため、疑わしい症状がある場合はすぐに医療機関を受診する必要があります。

市販薬で対応できない症状の場合

「今にも生理きそう」という感覚やそれに伴う不調に対して、市販の鎮痛剤などで対処しようと考える方もいるかもしれません。
しかし、もし妊娠していた場合、市販薬の種類によっては胎児に影響を与える可能性が否定できません。

もし生理が遅れていて妊娠の可能性がある、あるいは妊娠を希望している場合は、安易に市販薬を使用せず、医療機関で相談するか、医師に相談の上で服用可能な薬を確認するようにしましょう。

妊娠の可能性がある場合の受診目安

妊娠検査薬で陽性反応が出た場合は、できるだけ早く産婦人科を受診しましょう。
一般的には、生理予定日の1週間後以降(妊娠5週以降)に受診すれば、超音波検査で胎嚢(赤ちゃんが入る袋)を確認できることが多いです。
正確な妊娠週数の特定や、子宮内妊娠であることの確認のために受診が必要です。

妊娠検査薬が陰性でも、「今にも生理きそう」という感覚はあるのに生理が来ない状態が続く場合は、遅くとも生理予定日から2週間程度を目安に産婦人科を受診することをおすすめします。
ホルモンバランスの乱れや他の病気が原因である可能性も考えられるため、医師に相談して原因を調べてもらうことが大切です。

妊娠の可能性がある場合の医療機関受診の目安

状況 受診の目安
妊娠検査薬で陽性が出た 生理予定日1週間後以降(妊娠5週頃)できるだけ早く
妊娠検査薬は陰性だが、生理が来ない 生理予定日から2週間程度経っても生理が来ない場合
少量の不正出血がある 量や期間にかかわらず早めに
強い腹痛がある 我慢できない痛み、痛みが続く場合はすぐに
市販薬では対応できない体調不良 妊娠の可能性がある場合は安易に薬を使わず相談する

まとめ

「今にも生理きそう」という感覚は、多くの女性が生理前に経験する一般的な症状ですが、実は妊娠超初期症状と非常に似ているため、区別が難しいことがあります。
下腹部痛、胸の張り、眠気、倦怠感、頭痛、感情の起伏などは、どちらの場合にも現れる可能性があります。

一方、着床出血、水っぽいおりものの増加、頻尿、吐き気や胃の不快感(つわり)、そして何より月経の遅れは、妊娠の可能性をより強く示唆する症状です。
特に生理周期が順調な方にとって、生理予定日を過ぎても生理が来ない場合は、まず妊娠を疑うべきサインと言えます。

「生理が来たと思ったのに、量が少ないしすぐ終わった」「生理痛だと思っていたけど、生理が始まらない」といったケースは、着床出血や妊娠による腹痛を生理と勘違いしている可能性もあります。

妊娠の可能性を正確に知るためには、症状だけで判断するのではなく、適切なタイミングで妊娠検査薬を使用することが大切です。
市販の妊娠検査薬は、生理予定日の1週間後からより正確な結果が得られます。
フライング検査は誤った結果が出る可能性があるため避けましょう。

もし、妊娠検査薬で陽性反応が出た場合や、陰性でも生理が来ない状態が続く場合、あるいは不正出血や強い腹痛などの気になる症状がある場合は、自己判断せずに必ず医療機関(産婦人科)を受診してください。
医師の診断を受けることが、あなたの体と赤ちゃんの健康にとって最も重要です。

不安な時は自己判断せず専門家へ相談

「今にも生理きそう」という感覚が妊娠のサインかもしれないと不安な気持ちを抱えている方もいるでしょう。
インターネット上の情報だけで自己判断せず、専門家である産婦人科医に相談することが、一番安心で確実な方法です。
勇気を出して、医療機関のドアをたたいてみてください。


免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、医学的な診断や治療に代わるものではありません。
掲載された情報に基づいた行為によって生じた損害等に対し、当サイトは一切の責任を負いません。
ご自身の体調や症状に関して不安がある場合は、必ず医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。
公的な機関国際的な指針も参考にしながら、最終的な判断は医師と相談して行ってください。

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