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緊急避妊薬レボノルゲストレル|効果・副作用・いつまで?服用後の生理も解説

性交後に「もしかしたら妊娠してしまうかもしれない」という不安を抱えたとき、選択肢の一つとなるのが緊急避妊薬です。レボノルゲストレルは、現在日本で広く用いられている緊急避妊薬の有効成分です。適切に服用することで、望まない妊娠を防ぐ可能性を高めます。この記事では、レボノルゲストレルとはどのような薬なのか、その効果や副作用、避妊率、そして服用後に知っておくべき生理のことについて、詳しく解説します。正しい知識を持つことで、いざという時に落ち着いて対応できるよう、ぜひ最後までお読みください。

レボノルゲストレルは、主に緊急避妊薬として用いられる合成黄体ホルモンの一種です。予期せぬ妊娠の可能性が生じた場合に、性交後に服用することで妊娠を防ぐことを目的としています。

目次

緊急避妊薬のアフターピル(レボノルゲストレル)

アフターピルとしての位置づけ

緊急避妊薬は「アフターピル」とも呼ばれ、避妊に失敗した場合や避妊を行わなかった性交の後に、可能な限り早く服用することで効果を発揮します。レボノルゲストレルを有効成分とする緊急避妊薬は、世界保健機関(WHO)も推奨している標準的な緊急避妊法の一つです。WHOの資料では、緊急避妊は無防備な性交後5日以内であれば95%以上の妊娠を防ぐ可能性があるとされています(例:WHO Fact Sheet)。

この薬の主な役割は、排卵の抑制または遅延です。性交後であっても、まだ排卵が起こっていなければ、排卵を抑えることで受精の機会をなくすことができます。また、排卵後の場合でも、受精卵が子宮内膜に着床するのを妨げる作用があるとも考えられています。

ただし、すでに妊娠が成立している状態(受精卵が着床済み)では、レボノルゲストレルを服用しても妊娠を中断させる効果はありません(例:Planned Parenthoodの情報)。あくまで、妊娠が成立する前段階で働きかける薬です。

緊急避妊薬は、あくまで緊急手段であり、日常的な避妊法として用いるべきではありません。コンドームや低用量ピルといった、より確実で継続的な避妊法を普段から行うことが重要です。

ヤッペ法との比較

かつて日本で緊急避妊の主流だったのは「ヤッペ法」と呼ばれる方法でした。ヤッペ法は、中用量ピル(プラノバールなど)を性交後72時間以内に2錠服用し、その12時間後にさらに2錠服用するという方法です。

レボノルゲストレル法とヤッペ法にはいくつかの違いがあります。研究結果によると、レボノルゲストレル単剤法はヤッペ法よりも効果が高く、特に吐き気や嘔吐といった副作用の発生率が低いことが示されています(例:研究論文(PubMed Central))。

比較項目 レボノルゲストレル法 ヤッペ法(中用量ピル使用)
有効成分 レボノルゲストレル レボノルゲストレル、エチニルエストラジオール
服用回数 1回(1錠) 2回(計4錠)
服用推奨時間 性交後72時間以内(可能なら早く) 性交後72時間以内(可能なら早く)
服用時間による効果 時間が早いほど高まる 時間が早いほど高まる
避妊率 ヤッペ法より高い(特に早期服用) レボノルゲストレル法より低い
副作用(特に吐き気) ヤッペ法より少ない 吐き気の頻度が高い
国内承認 2010年 緊急避妊法としては未承認(適応外使用)

このように、レボノルゲストレル法はヤッペ法に比べて服用回数が少なく、特に吐き気などの副作用が起こりにくいという利点があります。また、全体的に避妊効果も高いとされています。これらの理由から、現在ではレボノルゲストレルを有効成分とする緊急避妊薬が推奨されることがほとんどです。

レボノルゲストレルの成分と作用機序

レボノルゲストレルの緊急避妊薬としての効果は、その成分が体内でどのように働くかによってもたらされます。

主成分レボノルゲストレルの働き

レボノルゲストレルは、女性ホルモンの一つである黄体ホルモン(プロゲステロン)に似た構造を持つ合成ステロイドです。体内に取り込まれると、排卵や子宮内膜の状態に関わるホルモンバランスに作用します。

主な作用機序として考えられているのは以下の通りです。

  1. 排卵の抑制または遅延: 最も重要な作用と考えられています。特に、性交時に排卵がまだ起こっていない場合、レボノルゲストレルが脳の下垂体に作用し、排卵を促すホルモン(LHサージ)の分泌を抑制または遅延させることで、排卵が起こるのを防ぎます。これにより、精子と卵子が出会う機会をなくします。
  2. 受精卵の着床阻害: 子宮内膜は、受精卵が着床しやすいように排卵後に厚く変化します。レボノルゲストレルは、この子宮内膜の変化を妨げることで、たとえ受精が起こったとしても受精卵が着床しにくくする作用があると考えられています。ただし、この作用については排卵抑制ほど確実なメカニズムとはされていません。
  3. 子宮頸管粘液の変化: 子宮頸管の粘液を変化させ、精子が子宮内に進入しにくくする作用もある可能性が示唆されていますが、緊急避妊における主要な作用とは考えられていません。

これらの作用により、レボノルゲストレルは妊娠の成立を防ぎます。しかし、これらの作用も排卵のタイミングや性交からの経過時間によって効果の程度が変動します。特に、すでに排卵が終わってしまっている場合には、排卵抑制の効果は期待できません。そのため、可能な限り早く服用することが重要となります。

エチニルエストラジオールを含むピルとの違い(低用量ピル含む)

レボノルゲストレルは単一成分の製剤ですが、緊急避妊や経口避妊薬(ピル)には、レボノルゲストレルと「エチニルエストラジオール」という卵胞ホルモン(エストロゲン)を両方含む製剤もあります。中用量ピルを用いたヤッペ法は、この両方を含むピルを使用する例です。また、日常的に用いられる低用量ピルも、通常は黄体ホルモンと卵胞ホルモンの両方を含んでいます。

レボノルゲストレル単剤の緊急避妊薬と、エチニルエストラジオールを含むピル(緊急避妊用または低用量ピル)の主な違いは以下の点です。

  • 成分構成:
    • レボノルゲストレル単剤: レボノルゲストレルのみ
    • エチニルエストラジオールを含むピル: 黄体ホルモン(レボノルゲストレルなど)と卵胞ホルモン(エチニルエストラジオール)の両方
  • 作用機序:
    • レボノルゲストレル単剤: 主に高用量のレボノルゲストレルによる排卵抑制、着床阻害
    • エチニルエストラジオールを含むピル(緊急避妊): ヤッペ法のように、高用量の黄体ホルモンと卵胞ホルモンの組み合わせによる排卵抑制、子宮内膜の変化など。副作用(特に吐き気)が出やすい。
    • 低用量ピル: 低用量の黄体ホルモンと卵胞ホルモンを毎日継続的に服用することで、排卵を抑制し、子宮内膜を変化させ、子宮頸管粘液を変化させるなど、複数の機序で確実に避妊を行う。
  • 目的と用法:
    • レボノルゲストレル単剤: 緊急避妊として、性交後に一度だけ服用する。
    • エチニルエストラジオールを含むピル(緊急避妊): ヤッペ法のように、性交後数回に分けて服用する(推奨頻度は低い)。
    • 低用量ピル: 日常的な避妊として、毎日決まった時間に服用する。

レボノルゲストレル単剤が緊急避妊薬として推奨される理由は、エチニルエストラジオールを含むピルよりも副作用、特に吐き気の頻度が格段に低く、服用しやすい点にあります。また、緊急避妊としての効果も、特に早期に服用した場合にヤッペ法を上回るとされています(例:研究論文(PubMed Central))。

低用量ピルは緊急避妊薬とは全く異なり、毎日服用することで継続的な高い避妊効果を得るための薬です。緊急時に低用量ピルを多量に服用して緊急避妊を行う方法(ユズペ法など)も理論上は存在しますが、レボノルゲストレル単剤法が主流となってからはほとんど行われなくなりました。

レボノルゲストレルの効果と避妊率

レボノルゲストレルを服用した場合、どのくらいの確率で妊娠を防ぐことができるのでしょうか。また、効果が現れるタイミングについても解説します。

効果が現れるタイミング(服用時間)

レボノルゲストレルの効果は、性交後できるだけ早く服用することで最大限に発揮されます。日本の厚生労働省によるガイドラインでは、性交後72時間(3日)以内の服用が推奨されています(例:厚生労働省ガイドライン)。

ただし、時間経過とともに避妊効果は低下することが分かっています。UCSF(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)のガイドラインなどでも、性交後24時間以内の服用が最も効果的であることが示されています(例:UCSFガイドライン)。Planned Parenthoodの情報では、5日以内まで有効である可能性に触れつつも、72時間以内の服用が推奨されています(例:Planned Parenthoodの情報)。

  • 性交後24時間以内: 最も避妊効果が高いとされています。
  • 性交後24時間超~48時間以内: 避妊効果はやや低下します。
  • 性交後48時間超~72時間以内: 避妊効果はさらに低下します。

性交から時間が経てば経つほど、すでに排卵が起こってしまっている可能性や、受精卵が着床の準備を進めている可能性が高まるため、薬の効果が及びにくくなります。そのため、「できるだけ早く」「一刻も早く」医療機関を受診し、処方を受けて服用することが非常に重要です。週末や夜間など、医療機関が開いていない時間帯でも、救急外来などで対応してもらえる場合がありますので、ためらわずに相談しましょう。

72時間を超えてしまった場合でも、全く効果がないわけではないという報告もありますが、その効果はかなり限定的になると考えられます。72時間以上経過してしまった場合でも、まずは医療機関を受診し、医師に相談することが大切です。

避妊の成功確率

レボノルゲストレルを適切に服用した場合の避妊成功率は、性交からの経過時間によって変動しますが、一般的に80%台とされています。これは、レボノルゲストレルを服用しなかった場合に妊娠するであろう件数のうち、約8割を阻止できるという意味です。

具体的な避妊率は研究によって多少のばらつきがありますが、UCSFのガイドラインでは以下のような傾向が示されています(例:UCSFガイドライン)。

  • 性交後24時間以内の服用: 避妊率 約95%程度
  • 性交後24時間超~48時間以内の服用: 避妊率 約85%程度
  • 性交後48時間超~72時間以内の服用: 避妊率 約58%程度

※これらの数値はあくまで目安であり、個々のケースで保証されるものではありません。また、これは「服用しなかった場合に妊娠する可能性があったケース」における阻止率であり、服用しても妊娠する可能性は依然として残ります。

重要な点は、レボノルゲストレルを服用しても避妊率が100%ではないということです。約5%~20%程度の確率で妊娠に至る可能性があります。そのため、服用後は次の生理が来るまで不安を感じるかもしれませんが、後述するように、必ず服用後の経過を確認し、必要に応じて妊娠検査を行うことが重要です。

また、緊急避妊薬は、その性交における妊娠の可能性を低くするものであり、その後の性交に対する避妊効果はありません。緊急避妊薬を服用した後で再び性交を行う場合は、必ず適切な避妊法を用いる必要があります。

レボノルゲストレルの主な副作用

レボノルゲストレルは比較的安全性の高い薬ですが、副作用が全くないわけではありません。どのような副作用があり、いつ頃起こる可能性があるのかを知っておくことは、服用後の不安を軽減する上で役立ちます。レボノルゲストレル単剤は、ヤッペ法に比べて副作用、特に吐き気の頻度が少ないことが研究で確認されています(例:研究論文(PubMed Central))。

起こりやすい副作用とその期間

レボノルゲストレルで最もよく見られる副作用は、主に以下のものです。これらの副作用は、薬のホルモン作用によって一時的に起こるものです。

  • 吐き気・嘔吐: 最も多い副作用の一つですが、ヤッペ法に比べると頻度は格段に低いです。服用後数時間以内に現れることが多く、通常は24時間以内に治まります。まれに嘔吐してしまうことがありますが、後述する対応を確認してください。
  • 頭痛: 服用後数時間から1日程度続くことがあります。
  • 倦怠感: 全身のだるさを感じることがあります。
  • 腹痛・下腹部痛: 生理痛のような痛みを感じることがあります。
  • 不正出血: 服用後数日から1週間程度で、少量の出血が見られることがあります。これは「消退出血」とは異なり、ホルモンバランスの一時的な乱れによるものです。多くは少量で、数日で治まります。
  • 乳房の張り: 生理前に感じるような乳房の張りや痛みを伴うことがあります。

これらの副作用は、一般的に軽度で、服用後数時間から1日程度でピークを迎え、通常は24時間から数日以内に自然に治まります。特に吐き気は、空腹時よりも食後に服用した方が軽減される場合があるという報告もあります。

重大な副作用の可能性

レボノルゲストレル単剤の緊急避妊薬は、重篤な副作用が起こることは極めてまれです。しかし、可能性としては以下のようなものが挙げられます。

  • 血栓症: 頻度は非常に低いですが、経口避妊薬全般に共通するリスクとして血栓症(血管内に血の塊ができること)の可能性がゼロではありません。特に、喫煙者や肥満、高血圧などのリスク因子を持つ方は注意が必要です。激しい頭痛、突然の息切れ、胸の痛み、片足の急な痛みや腫れなどの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。
  • アナフィラキシー様症状: アレルギー反応として、蕁麻疹、呼吸困難、血圧低下などがまれに起こる可能性があります。過去に薬で重いアレルギーを起こしたことがある方は、必ず医師にその旨を伝えてください。

ただし、これらの重篤な副作用の発生頻度は非常に低く、緊急避妊薬としてのレボノルゲストレルの安全性は確立されています。過度に恐れる必要はありませんが、万が一いつもと違う体調の変化があった場合は、医療機関に相談することが大切です。Planned Parenthoodの情報でも、レボノルゲストレルは長期的な健康影響がないとされています(例:Planned Parenthoodの情報)。

副作用が出た場合の対応

レボノルゲストレル服用後に副作用が出た場合、多くは特別な治療を必要とせず自然に改善します。しかし、症状がつらい場合は対処法があります。

  • 吐き気: 市販の吐き気止めを服用しても良いか、処方医に相談してみましょう。服用後3時間以内に嘔吐してしまった場合、薬の成分が十分に吸収されていない可能性があるため、再服用が必要かどうか処方された医療機関にすぐに連絡して指示を仰いでください。
  • 頭痛・腹痛: 市販の鎮痛剤(例: ロキソニン、イブプロフェンなど)を服用しても問題ありません。ただし、他の常用薬がある場合は、飲み合わせについて医師や薬剤師に確認しましょう。
  • 倦怠感・乳房の張りなど: 特別な治療法はありませんが、安静にして休息をとることで軽減されることが多いです。

もし副作用が非常に強く現れたり、数日経っても改善しない、あるいは症状が悪化するような場合は、自己判断せず必ず処方を受けた医療機関またはお近くの婦人科に相談してください。特に、前述の血栓症を疑わせるような症状が現れた場合は、緊急で医療機関を受診してください。

レボノルゲストレル服用後の生理(消退出血)について

レボノルゲストレルを服用した後、体のホルモンバランスが一時的に変化するため、普段の生理周期に影響が出ることがあります。服用後の生理や出血について、知っておくべき点を解説します。

いつ頃生理が来るのか

レボノルゲストレル服用後の生理(通常は消退出血と呼ばれます)は、個人差が大きいですが、通常は服用後3日から3週間以内に起こるとされています。多くの場合は、服用後1週間から10日頃に通常の生理に近い出血が見られます。

この服用後の出血は、薬によって一時的に高まったホルモンレベルが低下することで起こるもので、子宮内膜が剥がれ落ちる現象です。この出血があれば、今回の性交による妊娠の可能性は非常に低いと考えられます。

ただし、普段の生理予定日よりも早く来る人もいれば、遅れる人もいます。服用によって排卵が遅れた場合、その後の生理も遅れる可能性があります。また、服用時の生理周期のどの段階だったか(排卵前か排卵後かなど)によっても、服用後の出血のタイミングや量が異なります。

予定していた生理開始日を1週間以上過ぎても出血がない場合は、妊娠している可能性があります。この場合は、後述する対応が必要です。

不正出血との見分け方

レボノルゲストレル服用後、生理(消退出血)とは別に、少量の出血が見られることがあります。これは「不正出血」と呼ばれるもので、薬による一時的なホルモンバランスの乱れによって起こることが多いです。

不正出血は、生理と比べて量が非常に少なかったり、色が薄かったり、短期間で終わったりする特徴があります。一方、服用後の生理(消退出血)は、通常の生理に近い量と期間の出血であることが多いです。

特徴 服用後の生理(消退出血) 服用後の不正出血
タイミング 服用後3日~3週間以内(目安は1週間~10日後) 服用後数日~1週間程度
通常の生理に近い量 少量、または点状出血
通常の生理血の色(赤褐色など) 茶色っぽい、ピンクっぽい、または鮮血
期間 通常の生理に近い期間(数日~1週間程度) 数時間~数日程度で終わることが多い
その後の生理周期 この出血を1回目の生理としてカウントする 次の本来の生理が、予定通りまたは遅れて来る

ただし、これらの特徴はあくまで一般的な傾向であり、個人差が大きいです。服用後の出血が、通常の生理なのか不正出血なのか判断に迷う場合や、出血がだらだらと長く続く場合、量が多い場合などは、自己判断せずに医療機関に相談してください。

重要なのは、服用後の出血があったとしても、それが必ずしも避妊成功を意味するわけではないということです。特に少量の不正出血であった場合は、妊娠の可能性を完全に否定できません。

服用後の注意点と妊娠の可能性

レボノルゲストレルを服用した後、次の生理(消退出血)が来るまでは、妊娠の可能性が残っていると考えて慎重に行動する必要があります。UCSFのガイドラインなどでも、緊急避妊薬の服用後には、その後の性交に対する日常的な避妊方法の開始について話し合うことが推奨されています(例:UCSFガイドライン)。

  1. 確実な避妊の継続: 服用後、次の生理が来るまでの性交では、必ずコンドームなどの避妊法を使用してください。レボノルゲストレルには、今回の性交以降の避妊効果はありません。
  2. 次の生理を待つ: 服用後、通常は3週間以内に生理が来ることが期待されます。この出血をもって、今回の避妊が成功した可能性が高いと判断できます。
  3. 生理が来ない場合: 予定していた生理開始日を1週間以上過ぎても出血がない場合は、妊娠している可能性があります。この場合は、必ず妊娠検査薬で確認するか、または医療機関を受診してください。早期に妊娠が分かれば、今後の対応について医師と相談できます。
  4. 次の生理が異常な場合: 服用後の生理が、いつもと比べて極端に量が少ない、期間が短いなど異常だと感じた場合も、念のため妊娠検査を行うか、医療機関に相談することをお勧めします。

レボノルゲストレル服用後の経過は個人差が大きいため、不安なことや気になることがあれば、遠慮なく医療機関に相談しましょう。また、性感染症の可能性が心配な場合は、緊急避妊薬の服用時に医師に相談し、必要に応じて検査を受けることも大切です(例:UCSFガイドライン)。

レボノルゲストレルに関するよくある質問 (FAQ)

レボノルゲストレルについて、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。

服用できなかった場合は?

性交後72時間以内という推奨時間を過ぎてしまい、レボノルゲストレルを服用できなかった場合でも、まだ可能性がゼロになったわけではありません。

  • 72時間をわずかに超えた場合: 完全に無効とは言い切れませんが、効果は期待できない可能性が高いです。日本の厚生労働省ガイドラインでは、性交後72時間以内の服用を適正使用としています(例:厚生労働省ガイドライン)。しかし、海外のガイドラインでは120時間以内まで有効とするものもあります(例:WHO Fact Sheet)。時間が経つほど効果は確実に低下します。
  • 別の選択肢: 性交から時間が経ってしまった場合など、医師が別の緊急避妊法を提案することもあります。ただし、現在の日本で一般的に用いられるのはレボノルゲストレル単剤法です。
  • 自己判断は禁物: 72時間を超えてしまったからといって諦めず、まずは医療機関を受診して医師に相談してください。状況に応じて、最適な対応を一緒に考えてくれます。

最も重要なのは、避妊に失敗したと思ったら、できるだけ早く(できれば24時間以内に)医療機関を受診することです。時間が勝負となります。

どこで処方してもらえる?(医療機関受診の重要性)

レボノルゲストレルを有効成分とする緊急避妊薬は、「処方箋医薬品」であり、医師の診察を受けて処方してもらう必要があります。薬局やドラッグストアで市販されているものではありません。これは日本の厚生労働省が定める適正使用に関するガイドラインでも明記されています(例:厚生労働省ガイドライン)。

処方してもらえる医療機関は、主に以下の通りです。

  • 婦人科、産婦人科: 最も適切な医療機関です。妊娠に関する専門知識を持つ医師が診察してくれます。
  • 救急外来: 診療時間外や休日など、緊急性の高い場合には、救急外来で対応してもらえることがあります。事前に電話で受け入れ可能か確認するとスムーズです。
  • オンライン診療: 近年、緊急避妊薬のオンライン診療を行うクリニックが増えています。自宅や外出先から診察を受けられ、薬を郵送してもらえるため、医療機関へのアクセスが難しい場合や、対面での受診に抵抗がある場合に有効な選択肢です。ただし、オンライン診療でも医師との対面(画面越しですが)診察は必須です。

医療機関を受診することの重要性:

  • 適切な処方: 医師が問診や必要に応じて診察を行い、本当に緊急避妊薬が必要か、服用しても問題ないかを判断します。健康状態や他の服用中の薬との飲み合わせを確認し、安全に服用できるか確認します。
  • 効果的な服用指導: 薬の効果を最大限に引き出すための服用タイミングや、副作用が出た場合の対処法、服用後の注意点などについて、専門的な説明を受けることができます。
  • アフターフォロー: 服用後の経過や、もし妊娠してしまった場合の対応について、継続的に相談できる窓口となります。厚生労働省のガイドラインでも、副作用管理やフォローアップの重要性が強調されています(例:厚生労働省ガイドライン)。
  • 避妊に関する相談: 緊急避妊だけでなく、今後の日常的な避妊について相談する良い機会となります。低用量ピルやその他の避妊法について、医師から詳しい情報を得られます。

その他注意すべき点

レボノルゲストレルを服用するにあたり、他にもいくつか知っておくべき注意点があります。

  • 食事やアルコールの影響: 食事による吸収の影響は少ないとされていますが、胃腸の不調を避けるために、空腹時よりは食後に服用する方が良いという意見もあります。アルコールとの相互作用は確認されていませんが、アルコールによって判断力が低下したり、吐き気を催しやすくなったりする可能性があるため、服用前後の多量の飲酒は控えた方が無難です。
  • 他の薬との飲み合わせ: 一部の薬(例: 抗けいれん薬、HIV治療薬、セントジョーンズワートなどの健康食品)は、レボノルゲストレルを分解する酵素の働きを強め、薬の効果を弱める可能性があります。他の薬やサプリメントを服用している場合は、必ず診察時に医師に伝えてください。
  • 授乳中の服用: レボノルゲストレルは母乳中に移行しますが、乳児への影響は少ないと考えられています。服用後しばらく(例: 8時間程度)授乳を控えることで、乳児が薬を摂取する量を減らすことができます。授乳中の場合は、医師に相談して指示を仰いでください。
  • 将来の妊娠への影響: レボノルゲストレルを一度服用したことが、将来の妊娠のしやすさや、生まれてくる赤ちゃんに影響を与えるという科学的根拠はありません(例:Planned Parenthoodの情報)。過度に心配する必要はありません。
  • 性感染症の予防効果はない: 緊急避妊薬は妊娠を防ぐ薬であり、クラミジアや淋病、HIVなどの性感染症を防ぐ効果はありません。性感染症の可能性が心配な場合は、別途検査や治療が必要です(例:UCSFガイドライン)。

これらの点について不安がある場合は、必ず医療機関で医師や薬剤師に相談してください。

【まとめ】レボノルゲストレルとは、いざという時の選択肢

レボノルゲストレルを有効成分とする緊急避妊薬は、避妊に失敗してしまった場合に、望まない妊娠を防ぐための有効な手段です。主に排卵を抑制することで妊娠の可能性を低くしますが、効果は性交後できるだけ早く(特に72時間以内、できれば24時間以内)服用することで最大限に得られます(例:厚生労働省ガイドライン)。

ヤッペ法に比べて副作用が少なく、服用回数も1回で済むため、使いやすさが向上しています(例:研究論文(PubMed Central))。しかし、避妊率は100%ではなく、服用後も妊娠の可能性はゼロではないことに注意が必要です(例:UCSFガイドライン)。

服用後は、吐き気や頭痛、不正出血などの副作用が現れることがありますが、多くは軽度で一時的なものです。服用後の生理(消退出血)のタイミングや出血量には個人差があり、もし予定より大幅に遅れる場合や、出血がない場合は、妊娠検査を行うか医療機関を受診して確認することが重要です。

レボノルゲストレルは医師の処方が必要な薬であり、薬局で買うことはできません。適切な知識を持つ医師の診察を受け、安全に服用することが不可欠です。もしもの時に備えて、レボノルゲストレルや緊急避妊について正しい知識を持つことは、女性自身の健康と未来を守るために非常に大切です。不安を感じた場合は、一人で悩まず、必ず専門家である医師や薬剤師に相談してください。


免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的なアドバイスではありません。個々の状況に関する診断や治療については、必ず医師やその他の医療専門家の指示に従ってください。この記事の情報によって生じたいかなる損害についても、筆者および提供者は一切の責任を負いかねます。

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